関節の病気

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関節や結合組織の変化によって痛みが出たり、動きが悪くなったりした場合には、グルコサミンやコンドロイチン硫酸、ホーステイル(スギナ)を使って痛みを和らげます。

関節炎が再発したら、症状緩和のためにリコリス(甘草)やデビルスクロウ、ボスウェリア(乳香)を使ってください。

 

【関節炎、股関節形成不全】

関節が炎症を起こした場合を関節炎と呼びます。

このうち数か所の関節が炎症を起こすのが多発性関節炎です。

退行性関節炎は変形性関節炎ともいわれ、動物が年を取るにつれて、関節や骨、靭帯、軟骨の損傷によって起きる症状です。

関節に靭帯断裂、長期的な酷使、脱臼などの二次的な損傷を受けた場合に起きる症状が、変形性関節症です。

感染や免疫疾患によって関節の炎症が起きることもあります。

本来は体を守るべき免疫系が逆に働き発症することもあるのです。

関節炎は股関節形成不全という形でも表されます。

関節のケガなど、急性の場合を除き。関節炎はまず歩き方がおかしくなり、寒さや天候不順、運動などによって悪化していきます。

最初、ペットの歩き方が今までとは違うことに気がつきます。

ソファーに座るときや階段を上がるとき、車の乗り降りが不自由になってきます。

普段から動物の動きをよく観察していれば、関節炎は早い時期に発見できるはずです。

それまでとは違って、理由もなく不機嫌になってしまう時もあります。

毎日ペットの様子をよく観察していて、些細なことでも見逃さないようにしましょう。

健康管理日記ををつけ、毎日観察したことを何でも書きつけておくようにしてください。

毎日日記をつける習慣が身に付けば、常にペットの状態をよく観察するようになります。

たとえば、ある朝、筋肉がこわばっている様子を見つけて、大きな病気を未然に防ぐこともできるようになります。

動物だって年をとるにつれ、以前のようには簡単に足腰が動かなくなってきます。

私たちも、愛用の椅子から立ち上がるとき、このような経験をしたことがあると思います。

もし、ペットの年齢の割に関節が硬いと思ったら、治療を始めてみましょう。

ただし、関節炎に詳しいホリスティック獣医の診察を受け、関節炎について十分な知識を得てからハーブ療法を始めてください。

 

column…犬の股関節形成不全

股関節形成不全は「電球とソケット」のような仕組みの犬の関節炎が異常に発達して起きるもので、軽い股関節異常から関節の脱臼まで様々な症状があります。

股関節形成不全の根本的な原因については、ホリスティック獣医やホメオパシーの獣医の間で論争が行われています。

ホリスティックの獣医の間では狂犬病のワクチンなどのワクチン接種が原因となっているのではないかという指摘がある一方、遺伝ではないかという意見もあります。

しかし、もし、これが正しい意見であり、良心的なブリーダーがこの遺伝子を持っている動物を増やさないように気を付けているなら、なぜこの疾患がなくならないのか疑問です。

股関節炎はどんどん増えて続けているのです。

にもかかわらず、ほとんどの獣医が、股関節形成不全は遺伝だというのです。

百歩譲ってこれが正しいとしても、股関節形成不全と過度のワクチン接種との関係には、偶然の一致がありすぎると思います。

あなたの愛犬がまだ若いのに股関節形成不全の傾向があるなら、毎年受けるワクチン接種をやめるのも方法の一つだと思います。

股関節形成不全が遺伝的な病気であるという話が広まり、病気にかかりやすいといわれている犬種は敬遠されるようになってきました。

本当に残念なことです。

前もって注意を払って犬の繁殖を行えば、普通に健康な生活を送れるようになります。

さらに気を付けていれば、股関節形成不全を予防できる可能性もあるのです。

ウェンデル・O・ベルフィールド博士はその著書「Alternative and Complementary Veterinary Medicine : Principles and Practice (補完代替医療と獣医:原理と実践)」の中で股関節形成不全は遺伝的というよりも、むしろ生科学的な原因によって起きるのではないかと提起し、コラーゲン不足が原因でどの犬種にも起こりえる疾患であり、簡単に改善できる症状だと言っています。

調整が簡単な生化学的状態だと考えているのです。

そして、ビタミンCが不足するとコラーゲンの生成が難しくなり、関節炎がさらに悪化するとしています。

彼はその見解を立証するために、先天性股関節形成不全の見られる母親から生まれた、ジャーマンシェパードの子犬8頭で実験を行いました。

母犬達の妊娠中はビタミンCを大量に投与し、子犬にも成犬になるまで同様の措置をとるというものでした。

その結果、最終的にどの犬種にも股関節形成不全は見られなかったのです。

「うさぎの股関節形成不全は開張肢と呼ばれてる遺伝による生まれつきの股関節脱臼(股関節形成不全)や神経疾患の関連が多いようです。成長期に徐々に進行していくという特徴から、開張肢によって骨が変形する可能性も推測されるようです。ただ、遺伝的な要因で骨の変形が起こった結果、足が開く症状が出るという因果関係も考えられるため、どちらが根本的な原因かをはっきりさせるのは難しいと思われています。はっきりさせるには、何らかの原因により上記のビタミンCの不足(盲腸便が食べられない、もしくは異常)によるコラーゲンの生成不足により母うさぎに股関節形成不全が見られても、同じくビタミンCをサプリメントで補いながら仔ウサギにも同様の措置をとることで遺伝的な股関節形成不全が見られるかを確認すべきである。」

 

あなたのペットが関節炎になったら免疫力を高めるか、からだ全体のバランスを整える必要があります。

ただし、もし免疫機能不全で関節炎が起きている場合には、エキナセアなどの免疫刺激作用のあるハーブは、かえって関節炎を悪化させてしまいます。

慢性関節リウマチなどの炎症は、逆に関節に対する自己免疫作用が炎症を悪化させるので、免疫力を高めようとしても免疫系等を刺激すると、関節炎を悪化させることになってしまうのです。

むしろ機能不全の原因をホリスティックに考える必要があると思います。

それには、まず、動物の食事を細かく見直すことから始めましょう。

植物アレルギーはないか、今までに免疫系に影響を及ぼすような要因はなかったかなどを、徹底的に調べてください。

ワクチンや抗生物質、あるいはステロイド治療、有害物質の多い環境なども要因になってきます。

考えられる疾患を特定して治療する必要もでてきます。

たとえば、慢性的な便秘や肥満、抜け毛、下痢、泌尿器疾患、慢性の感染症などがないか、皮膚の状態はよいかなどを見ます。

もし、どれかに当てはまれば、関節炎からきている疾患かもしれません。

当てはまる項目が多ければ、すぐに治療を始めたほうがよいでしょう。

関節炎は、何種類かの疾患が重なって起こる非常に複雑なものなので、1つのハーブで改善されるというものではありません。

その代わり、ホリスティック療法なども含めて、あらゆる方向から考えていく療法なので、それぞれのペットが直面している疾患に個々に対応できるのです。

重労働を課せられている動物や、動きの激しい運動によくみられる関節部位の摩耗や断裂などで起きる変形性関節炎には、グルコサミン硫酸塩やコンドロイチン硫酸塩などのサプリメントを与え、体力を回復させてください。

グルコサミンやグルコサミン硫酸塩、N-アセチルグルコサミンは炎症性腸疾患やクローン病、大腸炎などの治療に有望視されています。

関節組織の回復には牛やサメの軟骨、ビタミンC、必須脂肪酸などのサプリメントが効果的です。

ハーブでは結合組織を丈夫にするケイ素を含むホーステイルが有効です。

ホーステイルのケイ素は体内で吸収できるような形になっているので、与えても大丈夫です。

コンフリーも、伝統療法では骨と関節の修復に用いられてきました。

これらのハーブは経口投与だけでなく、湿布として外用にも利用できます。

湿布にはカイエンヌとウィロウバークを組み合わせると効果が増しますが、猫には使用禁止です。

ネトルやダンデライオンは、関節の修復に必要なミネラルやビタミンの栄養素を豊富に含んでいます。

これらのハーブは腎機能強化作用もあるので、老廃物を体外に排出させる利尿効果もあり、関節を強化するには最適なハーブです。

また、シェパーズパース(なずな)も利尿効果があり、関節炎を起こしている部位の老廃物を取り除くといわれています。

セロリの種子やパセリの根も同様の効果があります。

アルファルファやレッドクローバー、バードックなどの体質を改善するハーブも血液組織をつくり、からだの組織から老廃物を排出する作用をもっています。

ダンデライオンの根やイエロードック(ナカバギシギシ)、オレゴングレープ(ヒイラギメギ)は、肝臓や胆のうを強化する作用があり、消化促進、栄養吸収、排便促進に効果があります。

クリーバーズやカレンデュラはリンパに作用するハーブで、リンパの流れを促し、炎症個所や周辺組織を浄化します。

カイエンヌとショウガには血管拡張作用があり、炎症部位の血液循環を増大させるので、これらも関節炎に良いでしょう。

しかし、この作用が逆効果となり炎症が悪化する動物もいます。経口投与するときは気を付けてください。

このようなときは、抗炎症作用のあるハーブや代わりになるハーブで、成分の含有量が低いものを少量使うほうが良いでしょう。

炎症や関節炎、股関節形成不全に有効な経口投与ハーブとして、リコリス、ウィローバーク(猫には使えません)もあげられます。

アルファルファもずっと昔から関節炎の症状を和らげるとされてきました。

これは毎日毎食に足して与えても安全なので、まずは為してみたいハーブです。

500gの食事に対して小さじ1杯の割合で加えてください。

強壮剤も関節炎の治療に効果的で、ヤロウやホーソン、ローズマリー、イチョウなど循環器系の強壮剤はおすすめです。

関節炎の周辺の血流が徐々によくなり、筋肉まで酸素がいきわたり、関節の曲げ伸ばしが楽になります。

 

【関節炎の動物用に基本的な強壮剤のレシピ】

…こちらは、HOR...at.nagatoroの鷲見までご相談ください。

 

栄養を摂ることはホリスティック治療を行うときの基本ですが、もちろん関節炎の予防にももっとも大切な物です。

生の食事に切り替えることは動物にとってもよいことであり、病気の予防面からも大事なことです。

カイロプラクティックの免許をもったホリスティック獣医から脊椎の矯正を受けるとよくなる動物もいます。

関節炎の痛みがひどい場合は有効でしょう。

 

※ペットのためのハーブ大百科…グレゴリー・L・ティルフォード、メアリー・L/ウルフ著書 より抜粋

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