循環器疾患
動物も年を取ると心臓や動脈の病気にかかるようです。
しかし、心臓発作を起こした犬や猫というのはあまり聞いたことがありません。
それは、彼らのからだが、肉や動物性脂肪をきちんと代謝できるようになっているからにほかなりません。
ただし、合成保存料や塩分、精製された糖分のとりすぎなどは体に良くないし、動物の循環器はどんな条件下でも耐えられるということではありません。
単に私たち人間と動物では不健康な食事や化学物質、あるいは環境などによって受ける影響が違うということなのです。
犬や猫に、質が悪く消化しにくい市販のペットフードを与えていると、動脈硬化になるよりも腎臓疾患で死んでしまうことのほうが圧倒的に多いのです。
当然、動物でも質の良い栄養、運動、環境がすべてそろわない限り、私たち人間と同じように循環器疾患を起こしてしまいます。
心臓と血管は連携して働いており、動物の生涯を通してある一定の血圧を受けています。
そこに体脂肪過剰や慢性疾患、タバコの副流煙、加齢などがさらなるストレスとなり、循環器系統が弱っていきます。
しかし、ペットは循環器の健康維持はできないので、すべて私たち飼い主にかかっています。
食餌と運動:心臓を健康に保つために
循環器の健康は、すべて完全な食事から始まります。
心筋と結合組織からなる心臓は、一生を通じて適切な栄養管理とケアをし、常に最高の条件を保っておく必要があります。
血管を強くし、常に血行をよくしておいて、どんな状況にも反応できるからだをつくっておかなくてはなりません。
さらに、からだの維持や管理に必要な栄養素やエネルギーが不足しないよう、気をつけていなくてはなりません。
ですから、動物が平均的に必要な「健康維持食」だけをとっていればよしとする考え方は問題です。
循環器疾患に必要な栄養素は毎日一定ではなく常に変動しているので、食事も変えていかなくてはならないからです。
つまりどのように完全なオーガニック食で、消化しやすいものであったとしても、市販のペットフードでは心臓に必要な栄養素がすべて含まれていることはあり得ないのです。
健康な心臓系統を保っていくには、まんべんなくいろいろな種類の新鮮な生の食餌を与える以外にありません。
循環器系統には、ビタミンやミネラル、必須脂肪酸なども必要です。
特に必要なのはアミノ酸で、タンパク質は平滑筋の発達と回復に効果があります。
心臓病の予防や治療にはコエンザイムQ10も重要な役割をします。
低酸素症、感染、炎症など二次的に起こる損傷から心筋を保護することがわかっています。
心臓に問題のある動物には呼吸が速い、咳をする、スタミナ不足などの症状が起きてきます。
詳しい検査をうけると、不整脈や肺水腫、血圧などの問題がわかることがあります。
ペットの心臓の具合がおかしいと思ったら、すぐにホリスティック獣医の診断を受けましょう。
ハーブ療法
心臓疾患に対するハーブ療法は、循環器や肺の機能を高めます。
強壮作用のあるハーブは、特に高齢の動物の心臓にかかる負担を軽くする効果があります。
どんな症状でも、ホーソンを毎日摂取すると、冠定静の血行を促し、血圧を安定させて心拍を強化します。
ガーリックもおすすめです。
また、末端や脳、末梢神経などの血行促進には、イチョウやヤロウ、カイエンヌもよいでしょう。
速くて不規則な心拍を穏やかにし、心臓を強化するには、ビューグルウィードが適しています。
心筋の炎症やうっ血性心不全のような肺水腫には、ダンデライオンの葉の濃いティーを毎日与えると体内の余分な水分を排出する一方、心臓を健康に保つためのカリウムを同時に吸収できます。
アストラガルスやシベリアニンジンなどの強壮作用のあるハーブは、動物の心身全体を活性化します。
アストラガルスは、心臓の感染症を引き起こすウイルスに対する作用もあります。
細菌やウイルスに感染した心疾患には、エキナセアなどの免疫強化作用のあるハーブが有効です。
【循環器の強壮剤】
下記のグリセリンチンキを混ぜ合わせて与えます。
ホーソン…2
ダンデライオン…2
ヤロウ…1
イチョウ…1
体重1㎏に対して1日/1回 0.15~0.25ml
※ペットのためのハーブ大百科…グレゴリー・L・ティルフォード、メアリー・L/ウルフ著書 より抜粋