腎臓は繊細な器官で仕事量も多いので、最初に疲れの出る臓器です。
年齢に関係なく腎臓疾患の動物は驚くほど多いものです。
腎臓疾患の原因の第一は質の悪い食事です。
市販のペットフードに含まれている過剰な「リン」も大きな原因で、ものによっては必要量の5~9倍もの「リン」を入れたフードもあります。
それでも丈夫で健康な腎臓の場合はめったに打撃を受けないのですが、すでに腎疾患のある動物には問題になります。
特にカルシウムの必要量が足りない食事を毎日与えられている動物には注意が必要です。
カルシウムが不足すると腎臓はリンを効率よく排出できずに蓄積していき、それが最終的には結石や腎臓の劣化につながります。
そして腎臓が悪くなるにつれ、糖尿病や免疫不全を起こし、長期にわたる薬剤療法やワクチン接種が必要になり、また慢性肝臓炎、消化器疾患などの病気にもなっていくのです。
最悪の場合、取り返しのつかない病気になるまで、全く変化に気が付かないことさえあります。
腎臓疾患の原因を正確に特定するのは困難です。
腎臓は一度悪くすると回復も遅く、治療には長い期間が必要になります。
このため腎臓疾患に対してのホリスティック療法も、予防のための食餌療法から始めます。
予防策では遅すぎるときには一刻も早い対処が必要です。
尿量が多い時は水をたくさん与えます。
泌尿器系の炎症や結石など複数の症状をを起こしている時は、動物病院で一通りの検査をしてもらいましょう。
そして腎臓疾患ということが明らかになったら食事のタンパク質を減らし、尿のpH値を正常にするための事前食に切り替えてください。
そうすることで、腎臓の負担は軽くなり、治癒に体力を使えることになります。そこからハーブ療法を始めていきます。
イチョウやホーソンなど腎部の血液循環を促進する強壮作用のあるハーブを使用し、カウチグラス(シバムギ、イヌムギ)やマシュマロウ、コーンフラワー(ヤグルマギク)で腎臓やそのほかの泌尿器組織の炎症を緩和し、ネトルやダンデライオンの葉、アルファルファ、ゴールデンロッド(アキノキリンソウ)などでゆっくり尿量を増やしていきます。もし感染症を併発している時は、オレゴングレープ(ヒイラギナンテン、ヒイラギメギ)やゴールデンシールなど刺激性がなく抗菌作用のあるハーブを加えていきます。
※ゴールデンシール:北米の先住民のチェロキー族やイロコイ族はゴールデンシールの根を砕いたものや根のハーブティーを食欲不振や消化不良、肝臓の不調、発熱、下痢などに幅広く用いました。ゴールデンシールの働きをひとことでまとめると粘膜トニック剤と言えるでしょう。粘膜の生体防御機能を強化し、細菌や真菌、ウイルスなど異物の外部からの侵入を阻止することで感染症を予防します。また黄色ブドウ球菌や赤痢菌、大腸菌などに対して幅広い抗菌力を有しています。こうしたゴールデンシールの働きは主としてアルカロイドのヒドラスチンとベルベリンによるものと考えられています。また根の黄色の色素と苦味はベルベリンによるもので、ゴールデンシールは別名インディアンターメリックと呼ばれています。現在、米国でゴールデンシールは最もポピュラーなハーブとして知られ、消化管の炎症や消化器の不調それに上気道カタルなどに用いられ、エキナセア(Echinacea angustifolia)とのブレンドも繁用されています。また、パウダー剤として外傷に直接散布したり、コップ1杯の水に自然塩と混ぜて撹拌し、のどの痛みなどにガーグルとして用いこともあります。
ハーブ療法によって動物の状態が悪化しないように、細心の注意を払っておきましょう。
✖特に腎臓に炎症がある際、芳香揮発性オイルを多く含むジュニパーやヤロウ、あるいはシソ科のハーブ、タンニンを多量に含むウワウルシ、ホワイトオークの樹皮、クロクルミの果皮などは避けてください。
腎臓疾患に対する伝統的なハーブ療法は、ほとんどが尿量を増大させ炎症を緩和することが中心です。
しかし、私たちは腎臓の血液循環を高めていけばさらによい結果が出ることがわかりました。
【ティルフォード理論】…腎疾患に対するホリスティック・ハーブ療法
腎臓疾患の治療の際、「腎臓は脳に次ぐ重要な循環器関連機関である」ということを見落としがちです。
延焼した組織によって腎臓への血流が滞ると腎臓は酸欠となり、機能を失ってしまうのです。
私たちは、イヌやネコの腎臓疾患の初期から中期段階にかけての治療に、抗炎症作用や免疫痔劇作用、さらにもっとも注目している循環強壮作用のあるハーブを調合してみました。
腎臓にはたくさんの血管が通っていて、酸素の依存性が高いということから子の処方を考えたのですが、うれしいことに獣医やペットの飼い主から「納得できる結果が得られた」との報告を受けています。
腎臓は血圧の異常や血管の弛緩、循環不良などに敏感に反応しますが、これはホーソンを使うことによって、血圧を上げることなく腎部の血液循環が高まるからです。
同時にイチョウは腎血管を拡張し、末端の血行を促進し、うっ血した組織の血圧を和らげていきます。
イチョウに含まれる粘液質の成分は尿管の炎症を緩和し、尿が通る際にも尿管を保護する潤滑剤になります。
少量のガーリックかエキナセアは細菌や真菌を殺菌する作用があり、マシュマロウは炎症を抑え、ダンデライオンの葉や生のパセリジュースは尿量を増やします、
その他、腎臓疾患への利用が期待されているハーブに、アルファルファやアストラガルス、ゴールデンロッド、カウチグラスなどがあります。
※ペットのためのハーブ大百科…グレゴリー・L・ティルフォード、メアリー・L/ウルフ著書 より抜粋
腎臓は休みなく血液の老廃物をろ過し続けているので、負担の大きい臓器です。
繰り返される感染症や結石など様々な障害によって傷ついたり、機能不全になってしまったりするのです。
泌尿器系機能と尿管粘膜を強化するには、ダンデライオン(たんぽぽの葉)やネトル(西洋イラクサ)、クリーバーズ(シラホシムグラ)、パセリの葉のうちいづれか1種類のティーを、飲み水に少し色が付く程度に入れて飲ませましょう。
老廃物の排出や血液浄化などの体質改善作用があり、栄養も豊富なので毎日続けて与えてください。
もし、あなたのうさぎに腎不全の初期症状が出たら、イチョウやホーソンの2種を1日2回与えると、腎臓の血液循環が高まり、腎血流も下がります。
炎症の緩和には、コーンシルクやマシュマロウ、オオバコを使います。